社員の声

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Aさん 「働ける幸せ」

  私は、統合失調症を発病してからこれまで、こころの病と向き合いながら歩んできました。

  発病する少し前は、東京にあった独り暮らしの自宅で、洋服のデザインを考えて作ったものをお店に卸す仕事をしていました。作った洋服は、10代や20代の女の子に向けた雑誌に、多いときは月に数回載せていただいていました。私は自宅でひたすらに洋服を作り、作ってはお店に持って行き、帰っては洋服を作るという毎日でした。しかし、頑張って洋服を作っている中で、こころは人間関係のことでいつも曇っており、空虚感にひっかかった状態で日々過ごしていました。こころのもやもやとした曇りは、この時に初めて表れたものではなく、思春期の頃からずっと引きずっているものでした。

  毎日が慌ただしく、人間関係に強い緊張感やストレスを感じていた頃に、周りの人の言葉の裏側1つひとつを自分で勝手に解釈してとらえ、自分がいる状況に危機感を感じ、友達にすがるような気持ちで会いに行ったりしていました。そして、だんだんと症状が悪化し、知らない人に尾行されていると思い始めたり、自宅が盗撮や盗聴されていると信じて疑いませんでした。常に誰かに見られていると思い込み、恐怖心で怯え、実家に助けの電話をしました。そして、母親に自宅に来てもらい、大阪に帰ろうと言ってもらいました。何とか帰ることに納得をして、7年間住んだ東京を離れて大阪に戻りました。

  大阪に帰ってからしばらくは病気の症状はなかったのですが、アルバイトの仕事は続かず、症状が再発し、入退院を何度か繰り返してしまいました。入院生活では、いろいろな病状の方がおり、「私ひとりが考え込んでいるのではないんだ」と思い、入院をしてしまったことに気持が沈んでいる中で、少し安心することができました。その後、私の病気は「統合失調症」ということが分かりました。病名を両親から聞いた時は、「まさか自分が」と思い、気持ちは浮いているような状態でした。しかし、服薬をしっかりと行い、病気と付き合いながら生活をし、ゆくゆくは仕事に就きたいと思うようになりました。そして病院のケースワーカーの方に、自宅の近くにあるデイケアという、精神の病の方のためのリハビリテーション施設を教えていただき、通うことにしました。

  デイケアに通いはじめ、料理やスポーツ、陶芸、手芸などを通して、スタッフやメンバーの方と病気をする前と同じくらいまでに、コミュニケーションを自然と取れるようになりました。将来に対してまだ不安はありましたが、こころに日がさしたようで、3年間通わせてもらいました。デイケアを卒業してから、すぐに就労することに不安があったため、大阪市職業リハビリテーションセンターの1年のコースを受験し、合格しました。

  大阪市職業リハビリテーションセンターの訓練では、パソコンや簿記の授業を始め、グループワークやSSTといった人間関係のトレーニングもありました。初めの頃は集中力も足りなくて、授業についていくことが厳しかったです。この頃に、指導員から1日の訓練に対して目標を具体的に考え、毎日の目標に対して良かったこと、反省を訓練日誌に書くようにと指示がありました。そして、指導員から評価を毎日書いていただきました。このことで、日々の訓練の中で少しずつ自分が成長していることを感じることができました。これまで、今ひとつ「現在」ということに現実感が薄かったのですが、目標を具体的に考えることで、しっかりと地に足をつけている感覚があり、充実感を得ることができました。卒業する3か月前に初めての実習で、NNCに行くことになりました。実習を受けて、いきいきと働いている社員の方を見て、こんな会社で仕事ができたら夢のようだと思いました。

  そんな憧れだったNNCに入社して初めの頃は、アドバイザーの方より教えていただいた業務を覚えることに必死でした。また、報・連・相に気をつけて、指示されたことを間違いなく行えるように努め、気持ちが安定するようにさせてもらいました。初めの頃は気持ちが不安になった時に、周りの方の言葉や行動を過敏に気にしてしまうことがありました。現在も、仕事について行くことにあっぷあっぷして、ミスをしてしまうことがありますが、こころが安定してしっかりとした気持ちで働いていることが、これまでの自分を思うと信じられないです。

  入社してからこれまでを振り返ってみると、まだまだ未熟ですが、先輩や同僚のおかげでとても自分自身が成長したように思います。そして何より、やさしい方々ばかりの会社で、入社当初に比べて気持ちが安定して、集中して業務を行うことができるようになり、コミュニケーションも不安無く取れるようになってきました。また、こころのもやもやとした曇りが無くなってきて、仕事を行っていることや友人がいることを本当に嬉しく思っています。 毎日の仕事に充実感があり、気持ちも豊かになって楽しいという思いをこころの底から感じ、辛いことを辛いと受け止められるようになりました。今の幸せを感じて、これからも仕事ができることにこころから感謝をして、日々に目標を立てて頑張って行きたいと思います。

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